CULTURE 2026.06.29

新VI誕生<後編>ZYYX Pattern — あゆむ文様

新VI誕生<後編>ZYYX Pattern — あゆむ文様 のメインビジュアル

新生ジークスの象徴として、手ぬぐいに旗としての役割を重ねた前編。その旗に施したデザインはどのように生まれ、ZYYX Patternへと展開していくのか——
後編は、その過程に迫ります。

村田 周一

むらた しゅういち

デザイナー

2009年入社。"生涯デザインのプレイヤー"を目指す、出世とは無縁の田舎暮らしテレワーカーおっさん

01

ジークス文様をつくる

ジークス文様のデザイン素材

手ぬぐいといえば、反復によって美しさをつくる連続柄の古典文様が代表的な表現のひとつ。
市松、麻の葉、青海波——
それは単なる装飾ではなく繰り返しの中に意味や願いを染め込む、いわば“視覚言語”です。

ジークスにも、そんなオリジナルの文様が欲しい。
手ぬぐいだけで完結するのではなく、今後VIの新しい展開として機能するものを——
そうした思いから、ジークス文様のデザインが始まりました。

02

基形の設計① — 視点をずらし、アプローチを変える

基形設計のアプローチ比較

最初に試したのは、ZYYXの4文字をランダムに配置し、文字そのものでパターンをつくるアプローチです。
文字として読めるところからスタートしたこの案は、読めることがかえってノイズになると感じました。
また、デザインもどこかレガシーな印象を帯びています。
手ぬぐいが伝統的な媒体だからといって、表現まで懐古的である必要はありません。
古いものから学びつつ、感覚は現代的に——
ここからアプローチを切り替えます。

文字の“構造”に目を向ける

文字のネガティブスペースから抽出した幾何学図形

注目したのは、文字そのものではなく、文字の余白——いわゆるネガティブスペースです。
Zの斜線が残す三角形、Yの二股が生む鋭角や弧、Xの交差が切り取る隙間——
その余白を、○△□といった原初的な図形で捉えました。
○△□は、要素を削ぎ落としたシンプルさゆえに造形としての強さを持ち、あらゆるシーンでVIとして機能し得る——
これがZYYX Patternの基形であり、構造の核になります。

03

基形の設計② — 試行錯誤を重ね、気づきに至る

基形を手ぬぐいに落とし込む試行錯誤

基形を手ぬぐいにどのように落とし込むか——
連続柄の古典文様が頭にあったから、最初はパターンを細かく敷き詰める方向で模索していました。

ここで、この手ぬぐいは旗として象徴の役割もある、と立ち返ります。
旗に求めるのは、密度ではなく強度。
細かいパターンは美しくはありますが、旗には向きません。

旗としての強度を追求したデザイン案

さらにアプローチの舵を切り直し、自分の中でデザインの方向性はほぼ固まりつつある中で、ボスからのひと刺し——「デザインの格を上げるのに、もうちょい何かできるんちゃう」
やすやすと終着とはいきません。

答えは目の前にあった

そんな使い倒されたフレーズのような…よくある展開の発見がありました。

アルファベットとカタカナが同じ4文字であることの気づき

アルファベットでも、カタカナでも、同じ4文字——なんと…。
共通の字数を活かし、アルファベットだけだった基形にカタカナを組み込んだら、これは面白いものになる!

最後の難関

カタカナ「ジ」の造形化に苦戦した過程

アルファベットの基形がシンプルなだけに、カタカナもそれにならう必要があります。
複雑な“ジ”に苦戦しながらデザインを進めます。

デザインクエスト そして完成へ…

ZYYX PatternとZYYX Flagの完成デザイン

ZYYX Patternの基形と、ZYYX Flagのデザインの完成です。
ここに刻み込んだのは“ZYYX”と“ジークス”の二つのカタチ。
新生ジークスの象徴であり、VIとして機能する基形でもあります。

前編で投げかけた「ZYYX Flagのデザインの正体は?」

もうおわかりですね!
ネガティブスペースの幾何学的な図形に意識を向かせ、文字として捉えづらいものにしています。
ですが、トリックを知れば、あとは自然と脳内変換されていくはずです。

04

構造の設計 — 組み合わせが広がりを生む

ここからが基形を活かした、ZYYX Patternの真価です。

ZYYX Patternの組み合わせバリエーション

基形の設計には時間を要しましたが、いざ組み合わせに入ると驚くほどスムーズに進みました。
ZYYXとジークス、どちらも4文字の対称性が組み合わせに高い自由度をもたらしてくれます。

横組のセットにもなれば、縦組のセットにもなる——
2列×2行に組めば正方形として扱える——
組み合わせ次第で図形が新たなカタチを浮かび上がらせる——

スケールの変化とリズムによる空間表現

さらに、スケールを変えて繰り返す——
拡大と縮小、疎と密を重ねることで、図形は空間に奥行きとリズムを生み出します。

それは、デジタル信号が飛び交う多層的な構造に見えたり、言語が構文を持ち意味が立ち上がるプロセスにも似ている——
ジークスならではの“視覚言語”をかたちづくり、古典にはない現代的な文様ができあがりました。

05

さいごに

「こうすべき」を疑い、視点を変えてみること——
及第点から、さらに上を目指すこと——
日々の案件でも大切にしていることだし、ZYYX Patternもその向き合い方から生まれました。

タイトルの“あゆむ文様”には、パターンをカタチづくるさまを “編む・結う”、そして広がり続け進化していく “歩み” を重ねています。
今後ジークスのデザイナーたちは、どんな編み方や結い方をしてくれるのか——
ZYYX Patternのこれからが楽しみです。