株式会社オープンハウス・アーキテクト様

家の建築過程を、施主の手元にリアルタイムで。施主ごとに異なる我が家を再現した施主体験Webアプリケーション「TATETA」開発

TATETA メインビジュアル

「我が家の今を、家族で」——施主が建築過程をリアルタイムで体験できるWebアプリケーション

住宅を建てている間、施主は現場の状況をリアルタイムで知る手段をほとんど持っていません。「今どこまで進んでいるのか」「どんな形になっているのか」——家づくりという人生最大のイベントへの期待は大きいものの、完成するまでの数ヶ月は、情報の少ない待機期間になりがちでした。

株式会社オープンハウス・アーキテクト様の施主体験向上プロジェクトとして、エンドユーザーが家の建築過程をリアルタイムで確認できるWebアプリケーション「TATETA」を開発しました。着工から引き渡しまで全9ステップの工程を施主がひと目で把握できる構成とし、現場監督が進捗を入力すると即座に画面が更新される仕組みを実現しています。施主ごとに異なる我が家のバリエーションを再現したアイソメトリックイラストにより、施主が「我が家が建っていく過程」を自分ごととして体験できるプラットフォームを構築しました。

CHALLENGE

課題

完成するまで、施主は現場の今を知ることができない

着工から引き渡しまでの数ヶ月、施主が家の進捗をリアルタイムで知る手段はほとんどありませんでした。担当者に問い合わせるか、自ら現場に足を運ぶしかない——それが、住宅建築における長年の「当たり前」でした。

この体験を変えるには、現場監督の実績入力が即座に施主の画面へ反映されるリアルタイム連動の仕組みが不可欠でした。バックエンドとのデータ設計からフロントエンドのパフォーマンス最適化まで、高い技術水準を要求する要件です。さらに、施主ごとに異なる我が家のバリエーションへの対応と、スマートフォン版・PC版(デモサイト)の両立も求められました。

APPROACH

アプローチ

01

上流からの情報設計と業務フロー整理

開発着手前の上流工程において、クライアントの業務フローとシナリオ設計を主導しました。「着工前→着工→基礎工事→上棟→木工事→完工→引き渡し」という全9ステップの施主体験を丁寧に定義し、各工程で施主が何を知りたいのか、現場監督はどのタイミングでどの情報を入力するのかを業務フローとして可視化しています。この上流での徹底的な情報設計が、その後の設計・実装の精度を担保するベースとなりました。

クライアントとのオーダー調整では要件の優先度を粘り強くすり合わせ、「実現可能なもの」と「実現すべきもの」を整理しながらプロジェクトを前進させました。

02

家族で一緒に楽しめる、没入感を生むビジュアル設計

内装工事・完成系のビジュアル、現場監督が撮影した施工写真、作業工程の情報を組み合わせ、施主ごとに異なる我が家のバリエーションをデジタルで再現しました。各ステップの画面はアイソメトリック(等角)投影のイラストで構成され、着工から完工に至るにつれて家の外観が段階的に完成していく演出を設計しています。施主が「これは自分の家だ」と感じられるよう、イラストレーターと緊密に連携しながら視覚表現の精度を高めました。

各ステップの背景カラーは工程に応じて変化する設計を採用しています。着工はティール、上棟はブルー、完工はサーモンピンクと、施主が画面を見た瞬間に「今はこの段階」と直感できる色彩設計を実現しました。また、工程進捗を円グラフで表示する「工程進捗」ウィジェットや、施主が現場の状況を記録できる「おうちアルバム」機能も組み込み、情報の受け取りだけでなく能動的な関与を促す設計としています。

03

「現場からお手紙です」——感情に届くコミュニケーション設計

進捗情報の通知体験として、「現場からお手紙です」というコミュニケーション機能を設計しました。事務的な進捗報告ではなく、封筒のアイコンとともに届く「お手紙」というメタファーを用いることで、受け取る施主の感情的な反応を意図的にデザインしています。

上棟・完工・引き渡しの各マイルストーンには専用のムービーコンテンツを連動させ、節目の感動を映像とともに届ける仕組みを構築しました。完工日の実績が記録されたタイミングでフロー画面を施主に開示する段階的な情報設計により、情報の鮮度と体験のタイミングを最適化しています。完工時にはSNSシェア(LINE・X・リンク)機能も用意し、家づくりの感動を周囲と共有できる体験へと昇華させました。

04

季節とともに変わるUI

4〜6月(春)・7〜9月(夏)・10〜12月(秋)・1〜3月(冬)と、四季に合わせてUIの雰囲気が変化するデザインを採用しました。家が建つ季節は施主の記憶と深く結びつきます。「あの夏、棟が上がった」「雪の季節に引き渡しを受けた」——その感情的な価値をUIデザインに反映し、Webアプリケーションを開くたびに「今、家が建っている」という実感を届けることを目指しました。

05

軽快に動き、感情を動かす——LottieアニメーションによるUI体験の実現

建築過程の進行を施主に伝える際に、静止画の切り替えや文字情報だけでは体験の質が不十分だと判断しました。そこでアニメーション制作会社と連携し、Lottieを用いた映像表現を実装しています。

Lottieを選んだ理由はパフォーマンスにあります。SVGベースで出力されるLottieは、ファイルサイズが軽量でWebとの親和性が高く、重い動画ファイルを使わずともスマートフォン・PCを問わずストレスなく動作します。家の形が着工から完工へと段階的に変化していくダイナミックな演出も、読み込み時間を感じさせることなくスムーズに再生されます。施主が画面を開くたびに「今、確かに家が建っている」という没入感を届けることが、この技術選定の狙いでした。アニメーションの制作ディレクションから実装統合まで、チームが一気通貫で担当しています。

OUTCOME

成果

施主向けから、業界横断へ。広がる販路と新たな需要

TATETAはオープンハウス・アーキテクトの施主向けサービスとして出発しましたが、リリース後にグループ内での評判が広がり、当初の想定を超えた展開が生まれています。

当初はオープンハウス・アーキテクトの売建顧客へのサービスとして提供を始めましたが、サービスの質がオープンハウスグループ内で注目を集め、グループ内の建売顧客や社外への提供も視野に、現在も継続してプロジェクトは進行しています。

一つのWebアプリケーションとして開発したプロダクトが、グループ横断・業界横断のプラットフォームへと進化する可能性を持ち始めています。

サービス公式サイト:TATETA(株式会社オープンハウス・アーキテクト)

PROJECT

プロジェクト概要

開発期間 6ヶ月
デバイス Web(スマートフォン・PC)
クレジット Associate Product Manager:遠藤 亮
Designer:萩尾 直樹
Illustrator:菅野 周
Frontend Lead:藤本 大介
Development Lead:道地 勇治
Developer:衣川 直輝
Developer:樟木 健太郎
採用技術 FE:TypeScript, Nuxt, Lottie
BE:Java SpringBoot
Infra:AWS(CloudFront, Lambda, ECS, Amazon Aurora)
Other:OpenAPI, JsonSchema, SendGrid, Terraform

CLIENT VOICE

クライアントボイス

栁瀨いづみ 様

株式会社オープンハウス・アーキテクト DX推進部

栁瀨いづみ 様

「業務アプリとは違う、感情に寄り添う開発。言語化できていなかった構想まで汲み取り、ワクワクを形にしてくれた。」

これまで業務アプリを中心に開発をお願いしてきましたが、今回開発した『TATETA』は「お客様にワクワクしていただくこと」を目的とした、弊社としても初めての試みとなるユーザー体験重視のアプリです。

ユーザーの心理状態に深く寄り添う必要があったため、常にユーザー視点を大切にし、私たちの思い描く思想を的確なUIへと落とし込んでくださるジークスさんしかいないと思い、ご依頼させていただきました。

既存の業務アプリ『ArchitectJump』シリーズでは、見やすさや使いやすさといった業務フローの最適化を重視しています。一方『TATETA』は、一生に一度の大きな買い物である注文住宅を建てられるお客様に向けたアプリのため、建築現場を頻繁に見に行けないお客様が抱く「施工状況がわからない」「家がどのように建っていくのかイメージできない」といった不安をいかに払拭し、お客様視点に寄り添って「見ていて楽しい」「完成が待ち遠しい」と思っていただけるかを最優先に考える必要がありました。ジークスさんはその思いに見事に応えてくださり、斬新なアプローチでありながらも高いデザイン性を活かし、幅広い層の方に親しまれるアプリに仕上げていただき大変満足しています。

また、既存の『ArchitectJump』とのシステム連携もしっかりと考えていただきました。資料などの情報共有がスムーズになり、「現場の負担を下げつつ、工程情報を公開してお客様に対する透明性を担保する」という、一見矛盾するような構図も『TATETA』では見事に実現できています。

さらに、デザインを追求するだけでなく、システムとしての最適化も忘れず、リッチなデザインをふんだんに取り入れながらも画面が重くならないよう、ユーザーが使っていて煩わしさを感じない快適な操作性を実現してくださいました。ジークスさんの確かな技術力により、「優れたデザイン性」と「システムとしての完成度の高さ」の両立を叶えていただき非常に頼もしかったです。

打ち合わせも終始和気あいあいとした雰囲気で意見交換ができ、私がうまく言語化できていなかった構想までもしっかりと汲み取り、形にしていただいたことに心から感謝しています。

STAFF VOICE

スタッフボイス

萩尾 直樹

デザイナー

萩尾 直樹(ハギオ ナオキ)

不安を感じさせない、家造りを最後まで楽しめることを意識してコンテンツを制作しました。上棟や完工といった主要な工程では、プロセスの理解を深めつつ祝祭感を演出する専用アニメーションを導入しています。

また、街の人々の吹き出しや細部のモーションを緻密に積み重ねることで、デジタルな体験の中に温かさと、施主様の期待感を高めることを目指しました。