インフォメティス株式会社様

電力センサーIoTデバイスのWi-Fi設定アプリ開発

電力センサー「サーキットメーター」 Wi-Fi接続設定アプリ

インフォメティス株式会社様は、2013年にソニー株式会社からカーブアウトして設立された人工知能(AI)による節電支援のソフトウェアやIoT機器を開発する企業。同社が独自開発した電力センサー「サーキットメーター」は家庭の分電盤に設置することで、電流の波形を人工知能で解析し、電気消費量を各機器ごとに推計できる画期的なIoT機器です。

ジークスでは、このセンサーの設置をより簡単にするためのWi-Fi(無線LAN)接続設定アプリ開発において、インフォメティス様との協業を行いました。

課題

電力センサーの設置を簡易化するWi-Fi設定アプリの開発

インフォメティス様は、革新的な機器分離推定技術を搭載した電力センサー「サーキットメーター」を独自に開発し、家庭内の電力データをAIで分析することで家電ごとの消費電力を推定し、効果的な節電支援を実現しています。このセンサーの価値を最大限に引き出すためには、ユーザーがスムーズに初期設定を完了できることが重要な課題でした。特に、Wi-Fiネットワークへの接続設定をいかに簡単に行えるようにするかが、製品の普及における重要なポイントとなっていました。

インフォメティス様はハードウェア開発と独自のAI技術に強みを持つ一方、モバイルアプリ開発においては専門的な知見が必要でした。そこで、IoTデバイス連携アプリ開発における当社の実績と技術力、そして柔軟な対応力を評価いただき、電力センサーのWi-Fi設定アプリ開発のパートナーとしてジークスが選定されました。

アプローチ

両社協業によるIoTデバイス接続フロー最適化

インフォメティス様が独自開発した「サーキットメーター」の特性と設置環境を深く理解し、最適なWi-Fi接続設定アプリの開発を行いました。特に注力したのが、BLE(Bluetooth Low Energy)を活用した電力センサーとスマートフォン間の安定した通信確立です。複雑なIoTデバイスの設定をユーザーが直感的に操作できるフローを両社で綿密に協議しながら設計を進めました。

また、Wi-Fi設定時の典型的なつまずきポイントを予測し、それらを解消するための機能を実装。例えば、アプリ内でWi-Fi設定を行う際に接続中のSSID名を取得することで設定の手間を簡略化。接続エラー時の原因特定と解決手順をわかりやすく表示するなど、きめ細かいUX向上を行いました。さらに、接続処理中のステータス表示や、接続完了後の動作確認機能も組み込み、ユーザーが安心して初期設定を完了できる環境を整えました。

通信の流れを書いた説明図

Flutter採用による開発コストの削減

開発効率とコストの最適化を図るため、クロスプラットフォーム開発フレームワークのFlutterを採用しました。Flutterの採用により、iOSとAndroid向けのアプリを単一のソースコードで開発することが可能となり、開発工数を大幅に削減。さらに、Flutterの持つ豊富なUIコンポーネントライブラリを活用することで、洗練されたデザインの実現と開発スピードの向上を両立させました。

特にBluetooth通信においては、flutter_blue_plusライブラリを使用してデバイスのスキャンから接続、データ送受信までをスムーズに実装。プラットフォーム固有の実装の違いを吸収しながら、安定した通信機能を実現しました。また、アプリのパフォーマンスを最適化し、通信処理中でもUIの応答性を維持することで、ストレスのない操作感を実現しています。

ストア申請・リリースまでスムーズなフォロー

アプリストアへの申請とリリースにおいては、豊富な経験を活かし、スムーズな審査通過をサポートしました。特に、iOS/Androidそれぞれのプラットフォームにおけるガイドラインに準拠したアプリ設計と、必要な技術文書の作成を徹底。弊社のノウハウとして、今回のように特定のデバイスが無いとアプリの機能を試す事が出来ないストア申請では、アプリの画面とデバイスの状況を動画にまとめて送信することで、リリース審査を円滑に進められるように努めています。

また、リリース後の継続的なサポート体制も整備。OSバージョンごとの細かい動作の違いやストア申請時のリジェクトも迅速に対応し、アプリの継続的な品質維持についても、包括的なサポートを提供しています。

結果

通信安定性とWi-Fi設定の使いやすさを実現

インフォメティス様が独自開発した電力センサー「サーキットメーター」のWi-Fi接続設定アプリを、予定通りのスケジュールでApp Store、Google Playの両ストアでリリースすることに成功しました。Flutterの採用とベトナム開発チームとの効率的な連携により、開発コストを当初の想定から約40%削減。Figmaで提供されたデザインデータをベースに、OSごとの最適な実装方法を提案しながら開発を進めました。

特にBLE通信の安定性とWi-Fi設定フローの使いやすさが高く評価され、Wi-Fi接続の成功率は99%以上を維持。アプリストアへの申請では、デバイスとの連携動作を示す詳細な動画を作成し、スムーズな審査通過を実現。インフォメティス様の革新的な電力センサーの設置をより簡単にすることで、AIによる電力分析と節電支援という製品の本来の価値を引き出し、付加価値向上に貢献しています。

開発期間
  • 4ヶ月
デバイス
  • PC、スマートフォン
採用技術
  • PHP、Wordpress
クレジット
Project Manager
Yoichi Sakai
Bridge SE
Vu Manh Thang
Programmer
Dao Xuan Loc

スタッフボイス

プロジェクトマネージャー酒井 洋一(サカイ ヨウイチ)
プロジェクトマネージャー 酒井 洋一(サカイ ヨウイチ)

今回は、Flutterで外部デバイスの制御、BLE接続のコントロールというあまりないタイプの案件でしたが、開発はスムーズに進みました。
ストア公開時には、Apple/Googleのストアのレギュレーション変更があり、審査に通るまで色々と工夫しながら進めました。