こんにちは、ジークスでデザイナーをしている黒石です。
サンフランシスコで開催されたFigmaのイベントである「Config2026」に参加してきました。
多くの発表がありましたが、新機能の詳細は公式をはじめ各所で記事になっているため、ここでは主に現地参加の感想や、考えたことを書こうと思います。

黒石 閑クロイシ ノドカ
デザイナー
空間系のデザイン学科を経て、2019年にUIデザイナーとして入社。案件では、アプリのUI設計やデザインシステムの構築に関わる。自他ともに認める社内で一番のFigma好き。
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Figmaはどんな方向に進むのか?
Configに向かう前に気になっていた事は、「Figmaはどんな方向に進むのか?」という事でした。
Configでは毎年多くの新機能が発表されます。昨年はFigma MakeやDraw、Slidesなどが追加されました。特にMakeは、それまでになかったコードやAIに関する機能だったため大いに期待され、新たなワークフローとして活用されています。
ここ数年はAIの進化が非常に早く、一部では「AIがいればデザイナー不要」「デザインにFigmaは不要」「デザインは死んだ!」のような声も出ていました。
個人的にはAIの進化に対しては推進派なので、「奪えるならやっちゃえ!」「AIだってクリエイティブになれる!」といった肯定をする一方で、「ホントに仕事なくなる?」「楽しいモノづくりとはおさらばなのかな…?」「そもそもAIの進化に自分はついていけるの?」と不安な気持ちもありました。
ClaudeがClaude Designを展開するなどAI業界がデザイン側に手を伸ばしつつある中で、このAIカンブリア紀にFigmaがどの方向にプロダクトをアップデートしていくのか?1人のFigmaファンとして期待する反面、どうなるのか不安でもありました。
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Configとキーノート
Configの参加者は非常に多く、なんと1万人以上もの来場があったそうです。場所はモスコーンセンターという施設で、一帯を貸し切って開催されています。
飾り付けもFigmaらしいポップなもので、グッズのショップはかなりの行列ができていました。自分もそうですが、みんなFigmaが好きなんですね!
サンフランシスコは日本よりも寒かったのでパーカーなどを購入しました。会場では並び順の近い方と一緒にお絵描き!のようなちょっとしたアトラクションがあったりなど、クリエイティブでありつつ緩い雰囲気でした。
全員が発表を心待ちにするFigmaのCEO、Dylan氏のキーノートはかなり混み合っていましたが、会場では比較的前の方に座ることができました。
キーノートの雰囲気はとても明るく、個々の発表には「Ohhh!」っと毎回歓声が上がっていました。自分含め、同じFigmaユーザーとして「これが欲しかった!」「こんなこと出来るようになるの!?」と気持ちが同じなのは嬉しいですね。
行く前は「Figmaはどんな方向に進むのか?」と気になっていましたが、しっかりとクリエイティブの方を向いた上で、AI技術を綺麗に取り入れています。
Figmaを使い続けて4〜5年くらい経ちますが、いつも自分達の欲しい機能や時代と調和した新機能を上手に取り入れてくれるので、これこそがFigmaがユーザーから好かれ、信頼されている凄さだと思います。
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Figmaのアップデート
キーノートでは様々な新機能が発表されました。ざっくり紹介します。
発表時はとても盛り上がったので、ぜひYoutube動画で歓声を聞いてほしいです。
Code Layer
「コードはデザインの素材である」というプレゼンで発表されました。
個人的に「バイブデザイン(AIに指示を出して、直接動くコードや画面を生成しながら進める手法)」の最大の課題点はFigmaのように横に色々と並べながら作ることができない部分でした。個々のページを作る上では問題ないように見えて、感覚的な部分ではありますが大きく違うと思います。
横に関係した画面を置いて関係性を考慮する、デザインのパターンを並べる、参考素材を周囲に配置するなど、物理的な環境でも大きな机の方が作業しやすいように、キャンバスの広さがクリエイティビティを促進するように思います。
コードをキャンバス上に置くことができるようになれば、エンジニアもデザイナーも共にコードを見ることができるようになるはずです。
Motion、Shader、Weave
新機能の中で、クリエイティブ視点で特に触って面白いのが、これらの表現の拡張です。今まではモーションなどをつける時には他のツールにデザインを持っていき、そこで作る必要があったものが、全てFigmaの中だけで完結出来るようになります。
表現力が上がったことで様々な表現にチャレンジしたくなり、Figmaがキャンバスとなって「より多くの情報が集まる場」に進化したことを感じさせます。
さっそく作って遊んでいますが、特にシェーダーは今まで触った事が無かった概念なので楽しいです。
そしてこれらが公式機能として存在し、連続して使えることが素晴らしいです。 コンポーネントにシェーダーを付けて展開しつつ、シェーダーの数値をアニメーションで変化させる……など、組み合わせの可能性が大いに広がりました。
生成プラグイン、Figmaエージェント
今回、AIの使い方として非常にうまいと思ったのは、モーションやシェーダーといった作成の難しいものをAIのサポート込みで実装するという所です。
モーションはまだしもシェーダーを自作するのは一般的なデザイナーでは不可能なところをAIによって簡単にカスタマイズできるようになります。それでいてAIに任せることで、機能は大きく増えたのにUI全体はスッキリしたままにまとまっています。アプリ設計としてすごいですね。
また、プラグインが自作しやすくなったことで、大きなワークフローの変化があるかもしれません。大型のデザインシステムではプラグインを付属させるケースも目にしてきましたが、これからは各システムで気軽に同様のものを作れるのかもしれません。
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様々なスピーカー達
キーノートのDylan氏の他にも、Configでは様々なクリエイター・エンジニアなどによるスピーチがあります。意外にも、それらは必ずしもFigmaを使ったものではなく、UIの域を超えた様々なクリエイティブの先端を行く人々による内容でした。
個々のスピーチはYouTubeで見ることができるのですが、ここからは僕が参加したスピーチのクリエイターを紹介します。
Zach Lieberman氏
少し前に東京で個展をやっていたので観に行きました。
彼はコードを用いたアーティストで、10年もの間、日々のスケッチとしてコードを描いています。ロジックとしての光の反射やオブジェクトの変形、インタラクションなど、現象的で面白いビジュアル作品が多くあります。
彼の活動はキーノートにもあった「コードはデザインの素材である」という思想と大きくリンクしていると言えます。今ではクリエイティブ・コーディングは比較的普及していますが、それはコードを素材とするアーティストがいるからと言えるでしょう。
Jayse Hansen氏
彼はUIアーティストなのですが、自分たちと違い主に映画に出てくるUIを作るアーティストです。
Iron man, TRON, Star WarsなどなどのSF作品内のUIを作成しており、それらの映画を観たことがあれば彼のUIも観たことがあるはずです。個人的にはIron manのホログラムがカッコよくて好きです。
実際に使われているアプリとは違い、演出としてのUIではあるのですが、実は機能面も踏まえてステータスの変化などをデザインしていたことが記憶に残っています。
これらのスピーチでは何より、これらを作っている本人の姿を目の当たりにしたことが印象的でした。
作品はグローバルに届くものですが、人間の実在感は近くでしか得られない、ということかもしれません。
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ツールが創造性を押し上げる
Figma CEOのDylan氏の発言を引用するならここでしょう。
Figmaを含むどんなツールも あなたの創造性をさらに押し広げ、アイデアを形にする力を制限すべきではありません。
今まで深く考えたことはありませんでしたが、Figmaは創造性や制作を「押し広げる」ツールとして思い返すと、Figmaを使う過程でその機能に沿いながら学び、習得したデザインの考え方が多くありました。
美術やデザインの歴史を見ても、テクノロジーはクリエイティブを広げるものです。
原初の時代でも歌や踊り、物語など、人はクリエイティブな存在ではあったはずです。技術が進んだことで楽器や紙、絵の具、写真機などが生まれ、それに付随して芸術も進化しました。
コンピューターも同様で、今やほとんどのクリエイティブはコンピューターの上に成り立っています。AIもその延長線上にある新しい土台だとすれば、問われるのはツールではなく「作る人間」そのものだということが、Configを通したFigmaからのメッセージだと僕は受け取りました。
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Configを終えて
Configで現地参加した意義として、実際にFigmaやネットの先で見ていた作品を作るクリエイターの姿を見た、ということが大きかったように思います。
作品自体を観たり触ったことがあっても、作った本人はインターネットの中で写真を見るくらいなものです。情報は知っていても「それをその手で作った人がいる」というのは、物理的に近くで感じるものなのかもしれません。「すでに実在する彼らと同じ人間として土俵に立たされていた」という事実は、一人のデザイナーとしてむしろ怖く感じるものでした。
Configの前後で、AIなどの最新テクノロジーとクリエイティブの関係に対する見方が変わったように思います。
Config前は「テクノロジーに追いついたり適応しないと」という大きな課題を感じていましたが(今でもあります)、Configの後はむしろ「自分のクリエイティビティがテクノロジーに追いつくか」の方がより大きな不安になりました。
不安や恐怖のようなネガティブなワードが並んでいますが、これは現地に行ったからこそ感じ取れた危機感と言えるでしょう。
大きく変化する時代では、時に哲学や考え方が大切になります。「答え」は常に変わるものかもしれませんが、今回得られた「問い」や「視点」は貴重で、変わることはないものだと思います。
この貴重な体験を元に、この先もこれらを考えシェアし続けていければと思います。
最後に一言
Config超楽しかった!!