
ヘルペス患者さん向け健康管理アプリの開発
マルホ株式会社様は、口唇ヘルペスにお悩みの患者さんに向けて、日々の健康データと発症時の症状を記録し、再発への備えを支援するアプリ「Myヘルペス」を提供されています。
このアプリは、スマートウォッチとの連携や手入力により、患者さん自身の生活習慣とヘルペス発症の関連性を把握し、再発の兆候を早期に捉えることを目的としています。
症状管理と健康記録を軸に、患者さん一人ひとりの状況に合わせたヘルペスマネジメントをサポートします。
ジークスは本プロジェクトにおいて、UIデザインのブラッシュアップとアプリ開発を担当しました。幅広い年齢層のユーザーが日常的に利用しやすいよう、操作性や視認性、親しみやすさを考慮したデザインを追求しました。また、睡眠時間などの記録項目では、法令に抵触する可能性のある診断的な表現ではなく、事実に基づいた情報のみを表示するという制約の中で、患者さんの行動変容を促すための情報設計を行いました。このような制約を踏まえつつ、ユーザーにとって真に価値のあるアプリとするため、細部にわたり工夫を凝らしました。
再発に悩むヘルペス患者さんのQOL向上
口唇ヘルペスは、一度感染すると生涯にわたり神経節に潜伏し、免疫力の低下などにより再発を繰り返す特徴を持つ疾患です。マルホ株式会社様は、この再発性の口唇ヘルペスが、患者さんの日常生活における心理的な負担や、QOLの低下につながっているという課題認識をお持ちでした。
そこで、治療薬の提供に加えて、患者さん自身が症状を管理し、再発の要因となる生活習慣を把握できる、改善を促すためのツールとして、健康記録アプリの開発が計画されました。
アプリには、発症時の状況や日々の健康データを記録することで、患者さんが自身のヘルペスとの付き合い方を見つけ、再発の不安を軽減し、より安心して生活できるよう支援することが求められます。また、記録された情報が医療機関の診察時に活用されることで、患者さんと医療従事者とのコミュニケーションの円滑化も期待されていました。
ユーザー視点のUI/UX改善
アプリの利用シーンを想定し、ユーザーがより直感的で分かりやすく操作できるように、UI/UXの改善に取り組みました。特に、健康記録の入力項目や、過去の記録の閲覧方法など、症状管理を行う上で重要な機能において、ストレスなく操作できるインターフェースを目指しました。幅広い年齢層のユーザーが利用することを考慮し、専門知識がなくても容易に理解できるようなシンプルな設計を心がけました。
親しみやすいデザインと操作性の追求
健康管理というテーマに対し、ユーザーが継続的に利用しやすいよう、親しみやすいキャラクターやアイコンを活用した優しいデザインを採用しました。ボタンの配置やサイズ、文字の大きさなども、高齢者を含む幅広いユーザー層が見やすく操作しやすいように、細部にわたり調整を行いました。また、安心感や清潔感を感じさせる色使いとし、アプリ全体のトーンを統一して一貫性のあるユーザー体験の提供を目指しました。
開発環境変化への柔軟な対応
プロジェクトの進行中に、インフラ環境をAWSから変更し、HPP(Healthcare Personal service Platform。富士通様提供の医療業界向けPaaS)を採用することが決定しました。当社にとってHPPは初めての環境でしたが、事前に詳細な調査と検証を行うことで技術的な課題を克服し、スケジュールへの影響は最小限に抑えることができました。また、ベトナムの開発チームとは、フロー図や仕様書を詳細に作成し密なコミュニケーションを取ることで、認識齟齬のないスムーズな開発を推進しました。
患者さんの主体的な健康管理と医療連携を促進
口唇ヘルペス管理アプリ「Myヘルペス」の提供開始により、患者さんは自身の症状や生活習慣を記録し、再発の傾向を把握することが可能になりました。紫外線や睡眠時間、運動量といった健康に関するデータを記録することで、自身の状態を客観的に理解し、再発に備えた生活習慣の改善に役立てることが期待されます。
また、発症時の詳細な記録は、医療機関を受診する際に医師へ的確に情報を伝えるためのツールとして、より質の高い診療に貢献することが期待されます。今後もアプリの利用状況を注視し、いただいたフィードバックを基に、患者さんのQOL向上に貢献できる、より使いやすいアプリへと改善を続けてまいります。
本開発プロジェクトを通して得られた知見を活かし、今後も医療分野におけるアプリ開発を通して、社会へ価値を提供します。

- 開発期間
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- 9ヶ月
- デバイス
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スマートフォン(iOS)
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- クレジット
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- Project Manager
- Naoki Wada
- Project Leader
- Naoya Nishida
- Director
- Miyuki Nakao
スタッフボイス

UI設計、仕様が固まった状態からのスタートだったため、アプリ観点での実装方法などを事前に考えながら進めることで、実現可否などについては、その場で回答しながらすすめることができました。
また、WEBチームとアプリチームでの連携部分についても、あらかじめ連携方法を考えておき、お互いのチームと認識合わせを行うことで、スムーズに連携部分の実装ができたと思います。

設計フェーズでは、お客様と共にアウトプットの方向性を丁寧に整理しながら、利用者視点に立った最適なUIデザインをご提案できたことが、大きな成果となりました。その点をご評価いただけたことは、チームにとっても大きな励みになりました。
また、機能面の使いやすさはもちろん、幅広い年齢層が日常的に利用できる健康管理ツールを目指し、主要メニューには大きなアイコンと文字を用いたボタンを配置し、アプリからのお知らせはキャラクター犬「サモエイド」のメッセージで伝えるなど、親しみやすさを意識したデザインを心がけました。