今回は、2023年に中途入社したディレクター、藤田が登場。プログラマーからSE、そしてディレクターへとキャリアを積み重ね、開発プロジェクトの進行管理はもちろん、課題解決のパートナーとしてクライアントと伴走するスタイルで信頼を集めています。これまでのキャリアや仕事への向き合い方、そして自身が描くディレクターの理想像についても語ってもらいました。
開発現場の世話好きが行き着いた天職は”ディレクター”!?
- 編集部
- まずは簡単に、ディレクターになるまでのキャリアを教えてください。
- 藤田
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高専を卒業して最初は工場に就職したんですが、夏は暑くて冬は寒く、四季を体で味わいながら業務を行っていました(笑)。そうした日々を過ごすうちに、「やっぱりオフィスで働きたいな」と思うようになったんです。
学校の授業では情報処理が得意でしたし、工場でも鉄を削る際に座標や回転数をプログラムで制御していた経験があったので、「自分はプログラマーという仕事が向いているのでは?」と考えるようになりました。

- 藤田
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ちょうどITバブルの時期、未経験でもどんどん業界に入れる時代ということもあって、無事転職することができたんです。入社直後は東京のマンスリーマンションに放り込まれて、1か月の研修後にそのまま実務に入っていったのを覚えています。
その後、別の会社にSEとして転職しました。要件のヒアリング、見積もり、進行管理などを任せてもらう中で、ディレクター的な役割も自然と担うようになり、最終的には正式にディレクターへシフトすることになりました。
もともと人の世話をするのが好きで、ディレクターという職種は自分に合っていたのかなと思います。前職時代は、先輩の家に行ってプログラミングを教わる代わりに、掃除や子守りなど色々家事手伝いもしていました。そのうち教わることがなくなっても、掃除や子守りは続けていて、代わりにご飯をごちそうになっていましたね(笑)。そういう気質もあってか、周りからはよく「ホスピタリティがある」と言われていました。
技術力を武器にお客様の課題を解決する
- 編集部
- ジークスに入社した経緯を教えてください。
- 藤田
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入社のきっかけは、スカウトで声をかけてもらったことです。前職では自社の開発担当が自分ひとりしかおらず、バックエンドがわかるのも自分だけ。外注を使ってなんとか回していたんですが、やっぱりひとりで抱えるには限界がありました。技術力や開発力の問題で解決できない課題も多かった。そんな中で、お客様の課題にきちんと技術的なアプローチで解決できる環境に身を置きたいと思ったのが、ジークスに入社した大きな理由です。
アイデアや提案を出しても、技術が伴わなければ形にできない。その点で、ジークスはしっかりと実現するための手段を持っているので、「考えたことをそのまま形にできる」という強みがあるんです。
ディレクターとして、お客様に寄り添いながら解決策を考えて、それを確実に実現できる仲間がいる。この安心感があれば、挑戦的なプロジェクトにも取り組めると感じました。
- 編集部
- 現在の業務について詳しく教えてください。
- 藤田
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今はディレクターとして、複数のプロジェクトにアサインされています。規模の大きな開発プロジェクトから、制作のみのものまで幅広く担当しています。プロジェクトリーダーを任されることもありますよ。具体的には、プロジェクトの進行管理やお客様とのやりとりを中心に、AIを活用した取り組みやアプリの解析設計など、新しいチャレンジも並行して進めています。
また、基本的なことですが、レスポンスの速さを意識して業務を行っています。すぐに答えが出せないこともありますが、基本的にはその日中に必ず返すようにしたいですね。『確認中です』の一言があるのとないのとでは、相手の安心感が全然違いますから。そういう小さな積み重ねが、信頼関係を築くうえで大事だと思っています。

ディレクターが大切にする開発プロジェクト成功のお作法
- 編集部
- 業務で特に大切にしていることはありますか?
- 藤田
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業務で一番大切にしているのは、お客様に伴走することです。発注元・発注先という関係で線を引かず、プロジェクトに関わる全員を仲間だと思って一緒にゴールを目指す。課題解決に向けて同じ方向を向くときに、一体感が生まれるんですよね。そういったお客様とはWin-Winの良い関係が築けて、長いお付き合いになることが多いです。
人間同士なので、どうしても合わないことも過去にはありました。全員と100%気持ちを合わせるのは難しいですが、リスペクトを持って向き合えば、互いに歩み寄れる部分は必ず見つかるんです。そうやって少しずつ信頼を積み上げていくと、不思議と相手もこちらの意図を理解してくれるようになります。むしろ、そういう一筋縄ではいかない関係から学ぶことが多くて、自分自身の成長につながっていると感じています。
その他に、課題解決の方法をひとつに絞らず、いくつかの選択肢を提示することも意識しています。『このやり方しかない』と押しつけるのではなく、複数のアプローチを並べて、それぞれのメリット・デメリットを一緒に検討する。そうすることで、お客様自身が納得して選び、主体的に進められるようになります。
- 編集部
- 相手の立場に立って考えることを重視されているんですね。
- 藤田
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お客様から依頼をいただいたときは、ただ言われたことをそのまま受け取るのではなく、背景や意図を汲み取るようにしています。『本当に解決したい課題は何か』『先回りして提案できることはないか』を考えながら対応してきました。こうした意図の先読みや提案があるかどうかで、お客様の安心感は大きく変わると感じています。
最近は打ち合わせがオンライン中心になって、お客様の表情やちょっとした空気が読み取りにくくなりました。対面だと「あ、今困ってるな」とか「本当は別のことを言いたそうだな」といったニュアンスを拾いやすいんですが、画面越しだとどうしても難易度が上がるんです。
だからこそ、以前よりも一歩踏み込んで質問したり、言葉の選び方を工夫して、お客様の本当の意図を理解する努力をしています。オンラインの環境では、ただ話を聞くだけでは足りず、こちらから積極的に理解を取りにいく姿勢が大切だと感じます。
- 編集部
- 社内のプロジェクトメンバーとのコミュニケーションでは、どのような工夫をしていますか?
- 藤田
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特に意識しているのは、デザイナーや情報設計を担当するメンバーとのやり取りです。ここは密にコミュニケーションを取るべきポイントだと思っています。コーディングは、基本的にデザインという“正解”が決まった状態から始まりますが、デザインや情報設計はゼロから何かを生み出す作業です。そこをしっかり擦り合わせないと、後工程のすべてに影響してしまう。
だから、最初の段階でどういう意図の設計なのか、どんな体験をつくりたいのかを丁寧に共有するようにしています。ディレクターがそこをうまく整理して橋渡しできるか次第で、最終的なアウトプットの質が大きく変わると思っています。
また、丸投げではなく任せるようにしています。丸投げの時点で責任が持てなくなるんです。相手のアウトプットを自分が咀嚼せず理解できないままでは、なぜそうなったのか説明できない。自信を持ってお客様に説明することもできません。
一方で“任せる”というのは、相手を信頼しながら、自分もその成果に対して責任を持つことだと思っています。最終的にクライアントへ伝えるのは自分。だからこそ、背景や意図をきちんと理解し、自分の言葉で説明できる状態をつくることを大事にしています。
ただ指示を出して終わりではなく、メンバーがどう考えて作ったのかを聞き、必要に応じて一緒に調整する。その積み重ねが信頼をつくり、良い成果につながっていくと思います。

ディレクターはチームの力を引き出す“ファシリテーター”
- 編集部
- ディレクターとして目指す理想像はありますか?
- 藤田
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意図を汲み取り、最適解を引き出すファシリテーターを目指しています。ディレクターの仕事って、誰かの意見を通すことじゃなくて、いろんな人の考えを整理して、最適な形にまとめていくことなんです。クライアントが理想を伝え、デザイナーがデザインの意図を語り、エンジニアが技術的な制約を話す。その全部を聞いて、「じゃあこうすれば実現できるかも」と道筋をつけていく。
たとえば、ある人の言葉が別の人には伝わりにくいとき、そのまま流さずにちょっと言い換えて伝える。言葉の意味だけじゃなくて、その裏にある感情や意図をくみ取ってあげる。そういう小さな調整を積み重ねると、チーム全体の空気がどんどん良くなっていくんです。
最終的には、「藤田さんがいるとなんかうまく回るよね」って思ってもらえる存在になりたいですね。自分が何かを引っ張るというより、みんながスムーズに力を発揮できることが理想です。
- 編集部
- どういう人と一緒に働きたいですか?
- 藤田
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一緒に働きたいのは、自分で考えて動ける人ですね。指示を待つだけではなく、自分なりに判断して行動する人が、ディレクターの仕事には向いていると思います。
ディレクターという仕事は、単にスケジュールを管理したり指示出しをする役割ではありません。プロジェクトを前に進めるために、関わる人たちをつなぐ“橋渡し役”だと思います。だからこそ、自ら考えて動ける力が欠かせないんです。
専門的な知識や経験は後から身につくので、最初からすべてを知っている必要はありません。それよりも大事なのはコミュニケーション能力です。わからないことをわからないままにせず、素直に伝えられること。質問や相談をためらわないこと。そうした姿勢があれば、知識が足りなくてもプロジェクトは前に進みます。
わからないことがあっても、自分なりに想像して動ける人なら、きっと良いチームワークを生み出せると信じています!
