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システム開発における「品質管理」は、プロジェクトの成否を分ける重要な業務です。同時に、体制づくりや取るべき手法など、悩みの絶えない領域でもあります。
当然、ジークスでもこれまで何度も試行錯誤を繰り返してきました。直近では、2022年6月に立ち上げた「品質管理推進グループ」を中心に、効率的な品質管理を目指した取り組みを進めています。段階的ではありますが、着実に効果も出始めてきました。
そこで今回は備忘録を兼ねた情報発信として、ジークス社内での品質管理に対する向き合い方についてまとめてみようと思います。1つの記事で語るには少しボリューミーになってしまったため、記事を前・後編の2本に分けてお届けします。
この前編で紹介するのは、これまでにジークスが抱えていた課題や、品質管理推進グループの立ち上げに至るまでの経緯についてのお話です。
ジークスにおける従来の品質管理
まず、品質管理推進グループを立ち上げる前、ジークスはどのようにして品質管理を行っていたのか。
当時の状況を簡単に言うと、「一人ひとりの担当者による管理」になります。PM(プロジェクトマネージャー)やPL(プロジェクトリーダー)がそれぞれの手法でプロジェクトをコントロールし、成果物の品質を保証していました。かく言う私自身も、プロジェクトメンバーとして品質管理に携わっていた一人です。
当事者としては、その体制に対して大きな課題などは感じていなかったように思います。
もちろん、PM・PLの考え方やスキルによって、プロジェクトの進め方に違いは生じます。しかし、どのプロジェクトでも、「お客様の要望に応える」という点はしっかりとクリアできていたのです。ただ、今になって振り返ると、“少数精鋭”だからこそ成り立っていた側面もあるかな、と感じる部分はあります。
最大の課題は品質管理の属人化
ところが、ジークスが成長していくに連れて、状況が変わっていきます。受注する開発プロジェクトの規模が大きくなり、少しずつ課題が浮かび上がってきたのです。例えば、次のようなものがジークスにとっての悩みの種になっていました。
- PM・PLごとに、要件定義で決める項目や設計書の粒度にバラつきが生じ、その影響で、手戻りや実装誤りなどの余計な工数が発生、これまで個人のスキルにより実装品質を保てていた部分が、開発案件規模の拡大と実装メンバー増加に伴い、担保できなくなってきた
- プロジェクトメンバー一人ひとりが抱えている不安や懸念がチーム全体に共有されない
いずれの課題も、突き詰めると品質管理の“属人化”が原因だったように思います。プロジェクトが大規模になっていくことで、これまでPM・PLの経験やスキルによって解決していた部分に綻びが生じてきたイメージです。
もちろん私を含めたPM・PLたちも、「どのプロジェクトでもこのフェーズで苦労している」という共通認識は持っていました。それと同時に、プロジェクトの内部からは改善できる範囲に限界があるというジレンマを抱えていた部分もあります。
“当たり前”以上を実現するための品質管理を
以上が、2022年6月に品質管理推進グループを立ち上げるまでの経緯です。各プロジェクトをよりスムーズかつ効率的に進められるように、外から働きかけるグループを作ったというわけですね。
さて、ここまでのお話では「お客様のご要望に応える=“当たり前”の品質を保証する」ことがテーマになっていました。「一般的なシステム開発会社における品質管理」と言い換えても良いかもしれません。
しかし、同グループの取り組みを通じてジークスが目指すものは、さらにその先にあります。ジークスの目標は、技術とデザインの両面から、お客様の課題解決を全面的にサポートすること。エンジニアやデザイナーといったスペシャリストがワンチームとなり、自社内で企画・デザイン・開発・運用まで一気通貫で対応できる点が強みです。
やや手前味噌な説明になってしまいましたが、ワンチームであることには弱みもあります。それは、品質管理を含めたマネジメントが正しく機能していなければ、最大限のパフォーマンスを発揮できないこと。スケジュール調整などがボトルネックとなり、ワンチームならではのメリットを活かしづらくなってしまうのです。
そういった意味で、品質管理推進グループを立ち上げたのには2つの意義があります。1つ目は、これまで保証してきた“当たり前”の品質をこれからも維持すること。そして2つ目は、ジークスならではの強みを最大限に活かせる環境を整備し、さらなる品質向上に向けて取り組むことです。
まとめ
さて、前・後編の前編である今回は、ジークスが品質管理への取り組みを強化するに至った経緯をお話ししました。続く後編では、具体的な取り組みの中身や、現時点で出始めている成果についてお伝えしようと思います。