INTERVIEW

本気で“つくること”が未来の誰かを幸せにする―  ジークスが社員全員でつくった「志(こころざし)」とは?<前編>

ジークスはこのほど、社員と会社の目標を共有する「志(こころざし)」を決定しました。最終的に選んだ言葉は「本気で“つくること“が未来の誰かを幸せにする」。今回はこの「志」の中身や策定のプロセス、今後の展開などについて、ジークスの社長である林が2回にわたって語ります。前編では、「志」をつくることになった背景や、社員一人ひとりが自分のやりたいことやありたい姿に向き合った策定プロジェクトについてご紹介します。

ジークスの目指す先を言葉にした「志」とは?

編集部
「志」の策定には、ジークスの全社員が関わったということですよね?この「志」には、そもそもどんな意味が込められているのでしょうか?
「志」は、近年各企業が策定している「パーパス」に近いものです。ジークスでは、パーパスよりもイメージが湧きやすく、意図を共有しやすい「志」という言葉を選び、その定義を「自分以外の他人や社会、自分が所属する組織のために果たしたいこと、やりたいこと、ありたい自分」としました。
編集部
最終的に、「本気で“つくること”が未来の誰かを幸せにする」が「志」となりましたね。この言葉は何を表現しているのでしょうか?

言葉を模索している時は、ほぼ全員の社員が“つくること”を楽しいと感じ、誠実に向き合うことを大事にしている点にフォーカスしました。デザインや技術など、それぞれの強みを活かして未来の社会や周りの人々に貢献する存在でありたい、という想いを表現しています。

この「志」を決める過程には、ジークスのすべての社員が関わりました。プロジェクトを通じて、社員が仕事に対して真摯に向き合っていることがわかって嬉しかったですし、各個人がそうした姿勢を持っている自分自身に気づく機会になった、この点は収穫でした。

志について語る林

社員全員で「ブレない軸」をつくるための策定プロジェクト

編集部
「志」を策定するに至った背景には、何があったのでしょうか?

中期経営計画の策定にあたり、社員全員に何らかの形で関わってもらいたいという思いがありました。そこで、トップダウンではなくボトムアップで社員の「やりたいこと」を集約し、企業としての方向性を「志」として定義することにしました。

ジークスの「志」は、世の中の動きに合わせるためのものではなく、自分たちの本来ありたい姿を見つめて、行動を決めるための基準。そうした「ブレない軸」をみんなでつくる過程で、ジークスという企業で、そこにいる仲間と働く意味を、社員自身に見つけてもらいたいと考えていました。

編集部
プロジェクトに期待していたことや、重視したポイントはありますか?

プロジェクトの実施を決めたのは、「ジークスの社員には、こうした取り組みをネガティブに考える人はいないし、仮にいたとしても、意識が変わるきっかけになればいい」という考えがあったからです。また、取り組みを通して、社員同士がお互いのことを知り、信頼して尊重しあう機会になることも期待していました。

「志」の策定にあたっては、強みや得意なことなど、それぞれが持っている「価値」を自分の周囲の課題解決にどう生かすか、社員自身に考えてもらうことにしました。また、一人ひとりがそれを自分の言葉で表現することを重視しました。

志の策定について語る林

一人ひとりが「ありたい自分」に向き合ったワークショップ

編集部
「志」策定プロジェクトのスタートについてお聞かせください。

2023年3月の全社会議の場で、「志」プロジェクトの意義と進め方の全体像を全社員に説明しました。そして5月から、全員の「志」を集める活動をスタートしました。

まず、社員全員に事前準備として、「志」を考えるためのシートを作成してもらいました。自己分析と周辺環境分析をしたうえで、「志」の候補となる文言を記入します。それを持ち寄ってメンバーの前で発表し、意見交換しながらブラッシュアップするワークショップの場を設けました。最終的には23ものワークショップを行いましたよ。

編集部
事前準備やワークショップを振り返って、印象に残っていることはありますか?

事前準備では、社会や環境についての課題を、自分の価値とどうつなげるかを考えてもらいましたが、なかなか思いつかないという声が多く聞かれました。それよりも、家族など周囲の人々に貢献したいという想いを持つ社員が多かったのが印象的です。

この過程で、メンバー一人ひとりがこのプロジェクトにきちんと向き合い、自分の言葉で「志」を考えてくれたのは良かったと思っています。社員がつくった「志」候補を見ると、ジークスはさまざまな業界のお客さまと関わるため、「自分たちのつくったものが、クライアントの多様な事業を通じて誰かのハッピーにつながっているんじゃないか」という部分はおおむね一致していました。そして、そのワークショップの場で、他のメンバーの「志」を聞くことで、その人の本当の姿が見えた気がしたり、人からの感想を聞いて自分の「志」の意味を再度認識したりと、とても素晴らしい時間となりました。

編集部
社員それぞれが「志」に向き合ったことで、さまざまな収穫があったんですね。それからは、どんな流れでプロジェクトを進めたんでしょうか?

その後は、集まった「志」=社員全員の想いを、なんとか1つの文に集約しなければなりません。そこで、5つのチームからなる「志作成ワーキンググループ」メンバーを私が選出しました。さまざまな目線を持ったメンバーを集めたいという意図がありましたが、属性の異なる「縦割り」のチームに分けてしまうと、意見が出しづらくなってしまいがちです。そこで、職位や職種、部門など、ある程度同じ属性を持ったメンバーが集まるようにチームを組みました。

まずは、意味で分類したりグルーピングして、キーワードごとに整理。5つの文言に集約し、全社員に投票してもらいました。その結果と、社員から出された意見を踏まえて最終的な文言をつくり、全社投票の結果、2023年12月、「本気で“つくること”が未来の誰かを幸せにする」がジークスの「志」に決まりました。

志のワークショップ内容
ワークショップから出たメンバーの「志」を意味ごとに分類し、キーワードを整理
編集部
ありがとうございます。このプロジェクトの背景、スタートから「志」の言葉が生まれるまでの経緯がよくわかりました。全社員を巻き込んで、様々な活動が行われたということですね。

後編では、今回決まった「志」の詳細や、今後の展開にフォーカスします。
(後編へ続く)