VOICE

グッドデザイン賞受賞アプリのデザイナーが語る、使う人に寄り添ったUIができるまで

関連キーワード

ジークスがアプリのUI設計とUIデザインを対応したオープンハウス・アーキテクト様の「Architect Jump」が、2022年度のグッドデザイン賞を受賞しました!今回は、UIデザインを担当した中道に、プロジェクト推進のポイントや成功の理由、受賞を受けての想いについてとことん語ってもらいました。

ジークス初の快挙 グッドデザイン賞に輝いた「Architect Jump」

今回私がUIデザインを担当した「Architect Jump」は、オープンハウス・アーキテクト様が提供する建築現場で働く方向けのアプリケーションです。案件の進捗や請求の管理、図面などの情報共有をアプリ上で完結できる、現場監督と取引先企業・大工さんたちの業務効率化・ペーパーレス化を後押しするサービスです。

嬉しいことに、このアプリが2022年度グッドデザイン賞を受賞しました。当社が関わったプロジェクトでは初めての受賞!このプロジェクトではデジタル化に対応すべく、建築現場の業務フローを洗い出したうえで、効率化・生産性向上に役立つ設計ができたことが評価されたと思っています。UIデザインも、アプリを使うそれぞれのステークホルダーの視点で使いやすさを追求した点を認めていただけました。

グッドデザイン賞に輝いた「Architect Jump」について話す女性

プロジェクトの基礎になった、各ステークホルダーの業務フロー整理

オープンハウス・アーキテクト様から当社へ最初にご相談があったのは2020年の秋ごろでした。先方の課題は、すでにリリースしていた現場向けアプリの利用が進まないこと。そして、2022年施行の改正電子帳簿保存法に則ったプロダクトが必要になっていることでした。アプリのリニューアルに伴い、ジークスがアプリのUI設計からUIデザインまでを担当することになりました。

まず当社が取り組んだのは、オープンハウス・アーキテクト様のビジネスゴールである業務効率化・ペーパーレス化のために、ステークホルダーである現場監督・取引先企業・大工さんそれぞれの業務フローを整理すること。ユーザーを中心にしたUIデザインのためには必要不可欠な作業です。目指すべき業務フローについて時間をかけて協議し、新しいアプリの機能を固めていきました。

私自身も、業務フローの整理からデザイナーとして参画。ワイヤーフレーム作成のアシストを行い、その後はビジュアルデザインをつくりこんでいきました。

ユーザーの声をすくい取り、直感的に使えるアプリのUIデザインを追求

プロジェクトの中で助けられたのは、ユーザーのリアルな声をもとに、アプリが現場でどう使われるかを想像しながらデザインできた点です。オープンハウス・アーキテクト様のご担当者がとても協力的で、60名ほどのお取引先・大工さんへのヒアリング結果を共有いただきながら改良を進めることができました。

そこで感じたのは、建築業界では想像以上にアナログのやりとりが多いこと。働く方々の年齢層が幅広いこともあり、デジタルリテラシーが高くないユーザーも多く、連絡手段がいまだに電話のみという高齢の職人さんもいます。また、屋外で使うアプリなので、タッチのしやすさや見やすさ・読みやすさも大切。それらの点を加味して、デジタルツールに慣れていない方でも使える、どんな現場でも使いやすいアプリUIデザインを目指しました。

直感的な操作を実現するために、まずはAppleやGoogleのUIデザインガイドに沿って、文字サイズやボタンの大きさなどを検討しました。画面の中で何が一番重要な情報かわかるようにデザインすることを意識しました。例えば、スケジュール確認画面。工事の工程ごとに、進捗が遅れているものは赤、今とりかかっているものは青で表示し、ステータスをすぐに判断できるようにしました。すべての工程を俯瞰して確認できるので、業務効率向上につなげられます。

また、オープンハウス・アーキテクト様は独自のデザインガイドラインをお持ちでした。使用可能な色やコントラスト、文字のスタイルが定められていましたが、中にはアプリに向かないものも。同社のデザイナー様と相談のうえ、ガイドラインをベースにしながら、ブランドを損ねない範囲で配色などを調整し、アプリの目的にあったスタイリングをしていきました。

オープンハウス・アーキテクト様 アプリUIデザイン

利用率97%を達成 継続支援でさらなるUI改善へ

リリースされた「Architect Jump」は、オープンハウス・アーキテクト様のお取引先の97%に利用され、大工さんたちも使いこなしてくれているようです。UXに対するユーザー評価が高いというお声もいただいていて、取り組みとしては成功と言えると思います。当社としては引き続き、アプリUI改善を継続してご支援しています。今後もオープンハウス・アーキテクト様全体の脱アナログ化・ペーパーレス化の取り組みに貢献したいと思っています。

ジークスのメンバーには、私たちデザイナーに限らず、知識・知見を蓄積していこうという文化があります。今回のように、ステークホルダーごとにワークフローを整理したり、ユーザーの声をすくい取ったうえで、さまざまな試みを実行に移せるのが強みですね。

当社は受託開発がメインですが、個人的には自社案件にもどんどん関わり、プロダクトを育てられるデザイナーを目指していきたいです!今興味があるのは、当社の関連会社であるWVVU(ウーブ)が手掛ける手書きコラボアプリ「Limeboard」のデザイン。ユーザーの反応にも気を配りながら、自分たちでつくったプロダクトを、よりよいものにしていければと思います。

グッドデザイン賞を受賞した女性